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STORY

恐竜の絵本「きょうりゅうのサン いまぼくはここにいる」発売開始。
文:かさいまり/絵:星野イクミ/監修:小林快次

きょうりゅうのサン ぼくはいまここにいる

恐竜の絵本「きょうりゅうのサン いまぼくはここにいる」が、アリス館より5月末に発売されました。

絵を担当したのは、オフィス・テレミートでも、企業イメージや広告、ポスターなどでイラストを描いている星野イクミ。ちょっぴり悲しいお話を、ほっこり感あるタッチで心温まる絵本に仕上げています。

絵本のモデルとなる恐竜は、北海道むかわ町穂別地域で、2003年に初めて発見され、2013〜2014年までの発掘調査と数年に渡るクリーニング作業を経て、全身の8割以上が確認された白亜紀末のハドロサウルス科恐竜、通称「むかわ竜」。約7200万年前に暮らしていた全長およそ8メートルの植物食恐竜です。発掘された骨は日本最大の全身骨格化石で、NHKの特集番組でも紹介されました。

発掘された化石から「この恐竜には、どんな物語があったのだろう?」と、考えたのは、むかわ町で子供時代を過ごしたという絵本作家のかさいまりさん。「さよならまたね」「とくべつないちにち」「こぐまのクーク物語シリーズ」など、ご自身の作画による多くの作品を発表されています。今回は地元のお話ということもあり、本の制作にあたって、むかわ町、穂別博物館、出版社、そして絵やデザインなど、全体のコーディネート役としても尽力されたようでした。

監修は、「むかわ竜」の発掘調査をされた北海道大学総合博物館の小林快次教授。世界を股にかけて活躍する恐竜学者として知られ、絵本の巻末では、数千万年前に生きていた「きょうりゅうのサン」が、化石となって今の時代の日本で発見されたという、「命のつながり」と「運命的な出会い」について、コメントされています。



ところで、この絵本はどのように誕生したのでしょう?
普段見ることができない鉛筆のスケッチを星野さんに借りてきました。

カット割りとラフスケッチ

一般的には、絵本作家が作画、つまりお話と絵の両方を創ることが多いとのことですが、お話と絵が別、ということも少なくないようです。今回は、絵本作家でもある、かさいさんがお話を作りました。そのお話に沿って、全体のページ数も考慮しながら、どの文章に、どのような絵を入れるのか、ラフを描いてカット割りしていきます。それを編集者も交えお話と絵を詰め、小林教授や博物館の学芸員の方々のご意見も聞きながら創り上げられていきました。

この絵本では、聞きなれないハドロサウルス科の恐竜たちが主人公です。そこで、カット割りの前に、まず恐竜のキャラクター作りが先行したようです。初めに恐竜図鑑などを調べて描いたそうですが、ハドロサウルス科の恐竜も数種おり、「むかわ竜」と呼ばれる発掘された化石がどの種に当たるのか、まだはっきりしないということもあって、何度かのチェックと修正を経て「きょうりゅうのサン」とその家族たちが誕生しました。

また、物語の舞台は約7200万年前の白亜紀末。その風景や海を想像して描かなくてはなりません。「想像」とは言っても「空想」ではないので、それなりの正確さも要求されます。
風景の中に「サン」と同じ時代に生きた恐竜を描いたそうです。しかし、「それはアメリカ大陸にしかいない恐竜」との指摘を受けて描き直したそうです。海の中の、ちょっと面白い形をした「異常巻き」と呼ばれるアンモナイトも、異常巻きでも「こういう巻き方はない」ということで描き直し。
あまり正確に描きすぎても図鑑になってしまうので、絵本としての面白さを失うことなく、それなりに違和感のない恐竜世界を創るのに、約1年がかりの苦労があったようです。

印刷も上質で綺麗な仕上がりです。多くの方々の熱い気持ちと協力によって創り上げられたこの絵本を、スマホやモニターの画面だけでなく、実際に手にとって見ていただく機会があることを願っています。

尚、上野公園の国立科学博物館で、2019年7月13日(土)〜10月14日(月・祝)の期間に開催される「恐竜博2019」にて、「むかわ竜」の全身復元骨格が展示されます。「むかわ竜」グッズとともに絵本も販売されるとのことですので、行かれた際には、是非「サン」を探してみてください。

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