アイルランド
アイルランドはイギリスの西に位置する、人口は500万弱、面積はイギリス領の北アイルランドを除くと北海道よりひとまわり小さな島国です。 首都ダブリンからやや南寄りに西へと向かい、西の端からはアラン諸島の一つ「イニシィア(Inisheer)」という小さな島へフェリーで渡りました。そして帰りは北寄りのルートでダブリンまで戻るという、2週間ほど車での旅をした時の写真です。
アイルランドは、かつて中央アジアからヨーロッパに渡来し広く定住したと言われるケルト人の文化が、言語を含め今なお残る島として知られています。また、世界遺産クロンマクノイズ(Clonmacnoise)やグレンダーロッホ(Glendalough)を始めとするキリスト教の修道院や教会の廃墟が各地に点々としています。
アイルランドの修道院は、中世の初期、聖パトリック(St. Patrick)がキリスト教の布教にあたったと言われる5〜6世紀頃からバイキングが押し寄せる9世紀まで間、ラテン語、ギリシャ語、そしてキリスト教の教義研究の場となり、そこで学ぶ修道士たちはそれらの修学に優れていたと言います。この時代を「聖者の時代」とも呼ぶそうです。
各地の町や自然、そして聖者が姿を現しそうな遺跡などを巡るうちに、自然崇拝と言われる紀元前のケルト文化、そしてキリスト教の修道院文化という重層的な歴史が、荒涼とした寂寥感さえ漂うアイルランドの風景に、奥行きと深みを与えているような印象を持つようになりました。