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パスワード付きzipがダメな理由とそれに代わるもの
第1章 パスワード付きzipがダメな理由

パスワード付きzipに代わるもの

一見、セキュリティに配慮したつもりのパスワード付きzip。しかし、無意味で労力の無駄であるばかりか、自社のセキュリティ対策をも脅かす存在であるという、専門家の厳しい意見でした。

お薦めはオンライン・ストレージとビジネスチャット

ではデータを安全に交換・共有するには、どうしたら良いのでしょう。もう一度、専門家の方々の声に耳を傾けてみると、大きく分けて2つのサービスがあるようです。

  • オンライン・ストレージ(クラウド・ストレージ)
    e.g.) Google ドライブ、Microsoft OneDrive、Dropbox
  • ビジネスチャットやSNS等のコミュニケーションツール
    e.g.) slack、Microsoft Teams、Chatwork、LINE WORKS、Workplace

いずれも営利を目的とする企業が提供し、個人向けの無料・有料コースから、法人向けの有料コース、更に有料コースの中でも、ファイルが共有できるストレージの容量や、セキュリティ・レベル、管理機能の違い、その他ツール利用の可否などで、サービスが細分化されています。

こうした有償のサービスに加入すれば、費用相応のセキュリティは担保されるとは思います。ただ気になるのは、解決策に関する専門家の方々の回答は、パスワード付きzipに対する批判の声よりも、トーンダウンしている印象があることです。
仕事をする殆どの人が使っているであろうメールと、企業色なく誰もが自由に利用でき、広く普及しているzipファイルの組み合わせを、単純に、そして簡単に置き換えられるものなのでしょうか。
個人や組織の業種や規模によって、ベストと言える答えが異なり、解決策となり得るサービスの選択肢も多いため、「これだ!」と一概に言えない状況にあります。

テレワーク時代のオンライン統合型サービス

2020年早春から始まった新型コロナ感染拡大以来、テレワーク化が否応なく世界規模で進みました。
専門家がお薦めという、オンライン・ストレージ、ビジネスチャット、それぞれについて調べようとしていましたが、この状況を受けてか、目を引くのはMicrosoftやGoogleといった超大手が、従来のサービス内容を改変して全面押しする「Microsoft 365(旧称:Office 365)」「Google Workspace(旧称:G Suite)」といった統合型のサービスです。
統合型のサービスとは、テレワークやリモートワークを前提に、オフィスというリアルな共通の場に集まらなくても、リモートでチーム作業を進められる、ストレージやチャットツールもちろん、ビデオ会議や共有カレンダーなどのグループウェア、その他オフィス系アプリの使用などを含む、オールインワンのサービスです。セキュリティ関連については、プランによって異なりますが、料金が高くなるほど、様々な脅威からデータを守る高度な機能が付属し、万一の場合には何が起きたか追跡可能な、ユーザーの操作を記録するログの取得などができるようになっているようです。

参考までに、「Microsoft 365」と「Google Workspace」のサービス概要と料金を調べてみました。
両社とも複数のプランを用意していますが、一般法人向けとされるスタンダードなサービスでは、実際に試してみないと使い勝手の良し悪しなど分からない点も多いものの、文面からは違いを探すのが難しいほど似たような内容('21年2月現在)で、サービス名も料金も同じという結果でした。
Googleには、WordやExcel、PowerPointに代わる独自ツールもありますが、広く普及しているOfficeファイルとの相互運用を可能としています。

プラン名 Microsoft 365
/ Business Standard
Google Workspace
/ Business Standard
価格 ¥1,360ユーザー / 月 ¥1,360ユーザー / 月
サービス内容 メール、チャット、ビデオ会議、通話、共有予定表、ファイル共有による共同作業、Officeアプリ、1TBのクラウド・ストレージ、セキュリティ管理機能、サポート等 ビジネス用メール、チャット、ビデオ会議、通話、共有カレンダー、Officeファイルとの相互運用、ドキュメント・スプレッドシート・スライド作成ツール等、2TBのクラウド・ストレージ、セキュリティ管理機能、サポート等
Webサイト

テレワークによって、もし賃料の高かった、例えば都心のオフィスを縮小したのなら、浮いた費用をこうした統合サービスに充てれば有効に活用できるかもしれません。ただ、できれば全社員、または少なくともある部門の全員が利用しなければ意味がないものなので、超大手が提供するサービスとはいえ、一社に囲い込まれてしまうことが良いことなのか、リスク分散の必要性はないのか、選択に苦慮しそうです。

次の章では、活用範囲が広そうな、オンライン・ストレージについて調べを進めます。

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