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巨木・巨樹シリーズ/File No.1 「賀恵淵の椎」

賀恵淵の椎

賀恵淵の椎

圧倒される存在感

千葉県中南部の君津市賀恵淵。宅地が増えたとはいえ、今ものどかさが残る水田の脇に、こんもりとした森があります。
小さな森の中には、八坂神社と浅間神社が同居しており、森の緑、その殆どを形作っているのが「賀恵淵の椎(かえふちのしい)」です。

君津市の教育委員会が、平成3年に設置した立て札がありましたが、少々読みにくいので書き起こしました。

君津市指定天然記念物

賀恵淵の椎 一樹

所在地 君津市賀恵淵 八坂神社
昭和五十年八月四日指定

 この椎は、和名をスダジイ又はイタジイと呼ばれ、上総地方の*社叢(*しゃそう=神社の森の意)では数多く見られる樹種でブナ科に属する常緑広葉樹であります。
 古くから人間とのかかわりが深く、農耕以前は、その果実が貴重な食糧源となっていました。
 この名木の樹齢は定かではありませんが、目通り周囲は八・五m、樹高二〇・七m、枝張りは東方向に十六・三m、南方向に二十一・〇m、北方向に十二mもあり、樹冠は七五〇m²の境内の大半を覆っています。
 平成元年に、新日本名木百選に選ばれた由緒ある巨木です。

平成三年二月二十八日 君津市教育委員会

大阪市と新聞社が1990年に共同で企画した、全国に存在する名木の百選に、千葉県からは、この木を含め3本(賀恵淵の椎、清澄の大杉、千本公孫樹)が選ばれました。

それから数十年の歳月が経ち、選ばれた木の中には、枯れてしまったり、切り倒されたものもあるとのことです。しかし、この「賀恵淵の椎」は、以来、何本かの大枝を失いながら、もしかしたら本来あるべき幹さえも失っているのかもしれませんが、今もなお見るものを圧倒する迫力ある姿を見せ続けてくれています。
折れても切られても傾いても、まだまだ力強く、「生」への気迫さえ感じるこの巨木を見て回る時、「畏敬の念を抱く」という言葉は、こういう姿を前にして使う言葉なのかな、とふと思いました。

切られても傾いても力強く生きる巨木「賀恵淵の椎」
名 称 賀恵淵の椎
読み方 かえふちのしい
樹 種 スダジイ
樹 齢 不明
所在地 千葉県君津市賀恵渕168
指定等 君津市指定天然記念物
撮影日 2024.12.10
樹 形 ★★☆☆☆
樹 勢 ★★★☆☆
異形度 ★★★★★
周囲の環境 ★★★☆☆
星の数ついて

星の数(☆☆☆☆☆)は、撮影者の主観的な印象または感想で、学術的、数値的裏付けなど客観的データに基づくものではありません。
また、星の数が、その木の価値や魅力を表すものではありません。
「周囲の環境」については、木そのものだけでなく、それがどんな周囲の環境に置かれているかも大事な要素と考え、(管理者の諸事情も察しますが)管理状況や立地条件、景観などを勘案し、星の数として表しています。

  • ★樹形
    整った樹形であるか、一般的な観点からの評価
  • ★樹勢
    見た目の木の元気さ
  • ★異形度
    自然環境、気象、天災、人災などの影響、または木本来の性質による、幹、枝の変形度合
  • ★周囲の環境
    管理状況、立地条件、景観など、木の周囲がどのような状況であったか

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