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巨木・巨樹シリーズ/File No.4 「若宮八幡宮の大クス」

若宮八幡宮の大クス

若宮八幡宮の大クス

八幡宮(若宮八幡宮)とは

静岡市内で「神社」と言えば浅間神社。市の中心部からは1km余りです。
実は静岡市の出身で、実家は浅間神社にも近く、祭りや初詣、従姉妹の結婚式などなど、個人的にも数々の思い出があります。
その浅間神社から徒歩5分。表通りから細い道を入った、住宅地のやや奥まった場所に若宮八幡宮はひっそりとありました。
全く知りませんでした。静岡から出たことのない母親にも聞いてみましたが、母親もまた、その神社の名もクスのことも知りませんでした。

市中のこじんまりとした若宮八幡宮ですが、その歴史はとても古く、立て看板によれば、第10代天皇、崇神天皇7年(西暦91年)によって命を受けた志貴氏が大和國より赴任し、この神社を*創祀(そうし)したと伝えられ、クスについては「推定される樹齢は二千年と言われる」そうです。

*創祀(そうし)=社殿が創られ神が祀られた時期

家康も木陰でくつろいだ?

看板には「徳川家康公駿府隠棲後」の話も書かれており、家康が第一線から身を引き、静岡の駿府城にいた大御所時代、鷹狩りなどの際に神主邸に立ち寄り、大楠の木陰で休憩された、とも伝えられているそうです。
その後も、この大クスは「駿河国新風土記(1835年)」といった古記録に登場し、「駿河名木番付(1845年)」によれば、相撲で言う「東の小結」の位置にあったということです。

家康が木陰でくつろいだかもしれない大クスは、雷か火災にでも遭ったような焦げて縦に割れた痛々しい傷跡があって、主幹を失くしているようでした。
また、市中の神社ということで素晴らしい環境が与えられているわけでもなく、長い歴史を経た証とも言える大枝の変形も見られますが、その割には葉もよく茂り意外に元気そうです。

こんな木が、家の近所にあったとは。浅間神社のクスノキは、子供の頃スケッチに来ていたのに。知っていたら、絶対、若宮八幡宮に来ていたなぁ。

立派なクスは他にもあります。でも、傷だらけで変形していても、長い歴史を感じさせるその姿には、より惹かれるものがありました。

もっと周囲の美観が整えられていれば良かったのですが。
そして、もっともっと広く知られて、これからも大事にされていけばと願います。

周辺環境の整備を願う若宮八幡宮の大クス
名 称 若宮八幡宮の大クス
読み方 わかみやはちまんぐうのおおくす
樹 種 クスノキ(楠または樟)
樹 齢 2000年(推定)
所在地 静岡県静岡市葵区浅間町1-40
指定等 静岡市指定天然記念物
撮影日 2025.1.02
樹 形 ★★★☆☆
樹 勢 ★★★☆☆
異形度 ★★★☆☆
周囲の環境 ★☆☆☆☆
星の数ついて

星の数(☆☆☆☆☆)は、撮影者の主観的な印象または感想で、学術的、数値的裏付けなど客観的データに基づくものではありません。
また、星の数が、その木の価値や魅力を表すものではありません。
「周囲の環境」については、木そのものだけでなく、それがどんな周囲の環境に置かれているかも大事な要素と考え、(管理者の諸事情も察しますが)管理状況や立地条件、景観などを勘案し、星の数として表しています。

  • ★樹形
    整った樹形であるか、一般的な観点からの評価
  • ★樹勢
    見た目の木の元気さ
  • ★異形度
    自然環境、気象、天災、人災などの影響、または木本来の性質による、幹、枝の変形度合
  • ★周囲の環境
    管理状況、立地条件、景観など、木の周囲がどのような状況であったか

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