| 自由研究室 |
大谷石とは何か。宇都宮への旅
大谷周辺のみどころ
大谷の奇岩群
大谷資料館に行く手前、徒歩5分くらいの場所に、広い駐車場と芝生やベンチが整備された大谷景観公園があります。「大谷」という名称は、もともと「大きな岩の間の谷あいから生まれた」ということですが、東側には姿川、川を挟んで対岸には、青い空と、ゴツゴツとした独特の形をした白い崖とのコントラストが印象的な、まさに「大谷」といった景色を楽しめます。
この辺り一帯は「大谷の奇岩群」と呼ばれていて、「大谷の奇岩群・御止山・越路岩(おおやのきがんぐん・おとめやま・こしじいわ)」は、2006年(平成18年)に国の名勝に指定されました。
「奇岩」は、この公園を中心として大谷周辺に点在しています。隆起や侵食により自然に形成されたものと、大谷石採石後に残った人工的なものとが混在し、ナイフで切りとられたオブジェのような形をした岩、中腹に穴が空いている山、海綿を思わせるような白い崖などが不思議な景観を作り上げています。
大谷寺
平安時代中期から鎌倉時代あたりに、凝灰岩の壁面に彫刻された高さ4mの千手観音、通称「大谷観音」を本尊とするのが大谷寺(おおやじ)です。大谷資料館からは徒歩10分くらい、大谷景観公園から徒歩5分くらいの近い場所にあります。
岩に彫刻した後に粘土を盛って細工された、千手観音像をはじめとする4組10体の仏の像は、大谷磨崖仏(おおやまがいぶつ)と呼ばれ、国の重要文化財(彫刻)に指定されています。
岩の壁面というより、洞窟まではいかないまでも岩がえぐれて洞穴のようになった場所に本尊の千手観音像が彫られているのですが、どことなく、※シルクロードの石窟を思い起こさせるような雰囲気があります。そして、この千手観音像を覆い守るように観音堂が建てられ、中に入っての参拝が可能です。平安時代中期には信仰の地となり、鎌倉時代には幕府により坂東三十三観音第19番札所に定められたということです。
話が少し外れますが、岩壁を背景にした観音堂としては、昔、取材で行った埼玉県の秩父28番札所の橋立堂を思い出しました。
※アフガニスタンのバ―ミヤン渓谷にある石仏との共通点が見られるとの研究があるそうです。
左:大谷寺の観音堂 / 右:平和観音
平和観音
平和観音とは、大谷寺から徒歩2〜3分のところに、太平洋戦争の戦没者供養と世界平和を祈って彫られた高さ27mの観音像です。戦後間もない1948年(昭和23年)から6年をかけ、大谷石採石場跡の凝灰岩層壁面に、大谷の石工たちが手掘りで完成させたということです。
そうした話を知って改めてこの大きな観音様を見上げる時、戦争を体験した当時の人たちの、平和への強い思いを感じました。
大谷石とは何か。2日間にわたる宇都宮への旅は、これでおしまいです。
有名餃子店に行く時間がありませんでしたが、宇都宮駅で、ちょっと変わり種の餃子をしっかり食べて帰りました。
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